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Fri2013.06.28


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹
文藝春秋

2013.6.26


多崎作(たざきつくる)36歳。
高校時代の5人組グループが、
アカ=赤松慶(あかまつけい)、
アオ=青海悦夫(おうみよしお)、
シロ=白根柚木(しらねゆずき)、
クロ=黒埜恵里(くろのえり)。
つくるだけ、苗字に「色」が入っていない、
ゆえに、色彩を持たない多崎つくる。

…伊坂幸太郎の「砂漠」、5人組だったなー。
4人の共通点は、色ではなくて、東西南北。
麻雀をやるための、東堂、西嶋、南、北村。
あぁ、でも、主人公は北村で、もう1人のメンバーは
鳥井くんだったか。
大学生だし。

「砂漠」の最後、卒業の春、北村が、
結局、僕たちはばらばらになる。
なんてことはまるでない、はずだ。

と言っているけれど、ばらばらにならないワケがない、
ってところかな。

1人だけ名古屋を離れ、東京の大学に進んだつくる。
休みの度に名古屋に帰り、変わらず5人で仲良く過ごしていたのに、
大学2年の夏に帰省したとき、突然アオから絶縁を言い渡される。
それは、4人全員の意見で、理由は「自分で考えろ」。

それから16年。
つくるは、理由を尋ねるため、4人に会いに行く。
=巡礼の旅。

アオが言う。
なあ、おれたちはある意味、パーフェクトな組み合わせだったんだ。
五本の指みたいにな…(略)…あんなことはおそらく、おれたちの人生で
もう二度とは起こらないだろう。…


アカが言う。
でも昔はおれにも、何人かの素晴らしい友だちがいた。
おまえもその一人だった。しかし人生のどこかの段階で、
そういうものをおれは失ってしまった。


沙羅とつくるの会話。
「つまり、ある意味ではあなたたちはそのサークルの完璧性の中に
閉じ込められていた。そういう風に考えられない?」
「ある意味ではそうだったかもしれない。でも僕らは喜んでその中に
閉じ込められていた。そのことは今でも後悔していないよ」


クロが言う。
いずれにせよその頃には、もうあの素敵なグループは――君を欠いた
四人のグループはということだけど――以前のようにはうまく機能
しなくなっていた。みんな学校を出て、それぞれの日常に追われる
ようになっていた。当たり前のことだけど、私たちはもう高校生では
なくなっていた。


でも不思議なものだね
あの素敵な時代が過ぎ去って、もう二度と戻ってこないということが。
いろんな美しい可能性が、時の流れに吸い込まれて消えてしまったことが


つくるは思う。
しかしそんな至福が永遠に続くわけはない。楽園はいつしか
失われるものだ。人はそれぞれに違った速度で成長していくし、
進む方向も異なってくる。時が経つにつれ、そこには避けがたく
違和が生じていっただろう。


結局私は、ずっと伊坂幸太郎の「砂漠」のことを考えながら、
読んでいたので、気になったのも、こういうところになって
しまいました

あぁ、気になったといえば、つくるくんの家の電話。
沙羅の電話番号を押した
とか、
短縮番号を押し、沙羅に電話をかけた
とあるので、「黒電話」じゃないですよね?
でも、夜中の電話に
それが沙羅からの電話であることはおそらく間違いない
って、かけてきた相手、表示されるからわかるでしょ?
電話機をじっと見ていたけれど、手がかりは得られなかったの?
いや、ちっちゃいとこ引っかかってますが

それにしても… 灰田文昭(はいだふみあき)くんは、
どこに消えてしまったの
灰田もおそらくおれの中につっかえているものごとのひとつなのだ
って、傍点付きで強調しておいて
ジャズ・ピアニストの緑川の語る「死のトークン」の
話も宙ぶらりん…

続編


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