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Sat2017.01.07


坂の途中の家 角田光代

坂の途中の家 角田光代
朝日新聞出版

2017.1.5


清志郎の声が頭の中でリフレイン

たまらん坂を登りきる手前の坂の途中の家を…

なので、なんとなく物悲しいけれど幸せな感じで
読み始める。
リクエストの順番待ちの間に、どんな本なのかの
予備知識はきれいさっぱり消えている。

序盤から、裁判員裁判を書きたかったための小説か…
と、思うくらい、平坦な描写が続く。
母が、途中でやめた、というのもうなずける。

と、思いながら読み進めていくうちに、
もしかして、これは『春にして君を離れ』の
パターンか?

里沙子が内省していくうちに、気づいた真実の姿…

けれど実際は、青空のような陽一郎は、静かな、おだやかな、
こちらを気遣うようなもの言いで、ずっと私をおとしめ、傷つけてきた。
私にすら、わからない方法で。里沙子はそのことだけは、今や
はっきり理解している。

やはり裁判で私はおかしくなって、陽一郎を誤解しているのだろうか。
水穂に肩入れするあまり、自分まで被害妄想にとらわれてしまったのか。

憎しみではない、愛だ。相手をおとしめ、傷つけ、そうすることで、
自分の腕から出ていかないようにする。愛しているから。それが
あの母親の、娘の愛し方だった。
それなら、陽一郎もそうなのかもしれない…(略)…陽一郎もまた、
そういう愛し方しか知らないのだ――。


そうなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

でも、考えて考えて気づけたことで、里沙子は大丈夫だと思う。

なにより、「こんなことで」というくらい些細なことで
どんどん追い詰められてしまう心理がとてもよくわかって。
だから、周りの人たちの悪意が心底コワイ。

でも、自分もふくめ、こういう人って、普通にいる。

『春にして君を離れ』、読み返そうかな…


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