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Sun2013.03.03


となり町戦争 三崎亜記

となり町戦争 三崎亜記
集英社文庫

2013.3.2


第1章 となり町との戦争がはじまる
第2章 偵察業務
第3章 分室での業務
第4章 査察
第5章 戦争の終わり
終章

<文庫版特別書き下ろし>
別章


「戦争研修」を読んだので、
「となり町戦争」に戻ってみる。

さすがに三崎亜記のデビュー作「となり町戦争」の
ショーゲキは覚えているが、ストーリーはウロ覚え

舞坂町(まいさかちょう)で暮らし始めて2年になる僕は、
広報紙の「となり町との戦争のお知らせ」で、
9/1から、森見町(もりみちょう)との戦争が始まることを知る。
10/1、「戦時特別偵察業務従事者」に任命され、
10/23、「戦時拠点偵察業務従事者」として、
香西(こうさい)さんと「便宜的に結婚し、
森見町にある「となり町戦争推進室分室」勤務となった僕。
僕には、戦争の痕跡も見えなければ、気配も感じられない。

「それ、無理矢理折り曲げてもらえますかあ」
「もう固くなってるから……」
「心配ないですよお、それはもうモノなんですからねえ」

「あれ、包んでないのか?」
「ちょっと予定外の所で載せてきたんで、
 この車、まだ防水袋の支給、受けてなかったんですよ」
「よし、なんにしろ落とそう。そっち持って」
「うわ、まだやわらかいな」
「引きずるな……せえのっ」

香西さんの弟、志願兵となった智希や、
倒撮(とうさつ:戦死写真撮影)のために
森見町に侵入した、智希の友人の死体が、
森見町の条例に従い、ごみ焼却場で焼却処分される。
遺品も遺骨も戻らない…

「となり町戦争」だけ読んだときより、
「戦争研修」と「別章」を読むことで、
物語世界に厚みが増す。
(奇妙に現実から遊離した世界なのだけれど)

戦争が終わったらとなり町の町長の息子と結婚する、
という香西さんが、更になにかの犠牲になるような
印象だったけれど、
相手が「戦争研修」に出てくる杉田なら…


「別章」では、学生時代に智希の恋人だった、
鳴海舞の視点で物語が紡がれる。
入社研修を終え、「森見町地域振興事業」に
従事する鳴海。
智希の葬儀で、姉の瑞希から、智希の最後の写真を
見せられる。
防水袋に包まれ、地面に無造作に並べられた遺体。
その防水袋は、鳴海が仕事で手配した、
「第五次町民交流強化計画」の「夜間イベント」用の
防水袋だった。

言葉を言い換えて、視点をずらすだけで
「殺し合い」ではなくなってしまう戦争。
遺体をごみ処分場で焼却する条例が
制定されてしまう世界。

戦争って、案外こんな風にあっさりと始まって、
日常になってしまうのかもしれないと、怖くなる。


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