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Sat2013.08.03


黄金の庭 高橋陽子

黄金の庭 高橋陽子
集英社

2013.8.2


新庄耕の「狭小住宅」の巻末に載っていた紹介文に
質屋で手に入れたオパールの指輪が喋りだす
というようなことが書いてあったので借りてきた「黄金の庭」。

しゃべるオパールの指輪が出てくる前に、次々と不思議な
描写に出くわす。
初詣に行った近所の黄金寺のご本尊の閻魔様が
いたずらした男の子を投げ飛ばして本堂に戻っていったり。
夜空を見上げれば三日月の明かりで天女が3人踊っていたり。
豪邸の屋根にあしらわれたシャチホコが蛇を食べていたり。
広場の木の下に結跏趺坐で座る女の子が、両手から虹を出して
いたり。
しゃべるオパールの指輪がちっとも出てこないけれど、
しゃべるオパールどころじゃない話がてんこ盛り。
これってファンタジー?
にしては、淡々としていて、ファンタジーのわくわくさが
ないけど…

頭の中がながら、でいっぱいになりながらも1/3くらい
読み進んだところで、やっとオパール登場

金の台に直径一センチほどの楕円のオパールがついた指輪が
目にはいった。


「このオパールはおしゃべりオパールといいましてね、あること
ないことあなたにしゃべりますよ。なにしろ何億年も地中にいて
しゃべりたくてたまらなくなってますから」


きらきらと虹色に輝いてとても美しい。

という感想は普通ですが、青奈さん、質屋のオジさんに、

「でも、おしゃべりなオパールなんてそうないでしょ?
そんなめずらしいものをどうして」


なんでそんなに淡々と

公園の池では、毎日蓮の花からお釈迦様が生まれるにいたって
(しかも誰もびっくりしない)… なんだかすべてを放棄…
でもこの蓮からお釈迦様が生まれる光景がすごく素敵

正午になったのか、どこからか鐘の音がきこえてきて、するすると
蕾の蓮がどんどん花開く。太陽の光に照らされてピンクの蓮が花開く
瞬間はとても神秘的だった。ぽんと蓮の花がひらくと、花芯のところに
なにかちいさなものがあって、それをよくみると結跏趺坐をなさって
三昧にひたっていらっしゃるお釈迦様だろうか、まるで竹取物語の
かぐや姫のようにちいさくどの蓮の中にもいらした。


青奈と那津男、千ちゃんとダイヤさんとか、アーちゃんと黄金町の闇とか、
もうストーリー自体どうでもよくなってくる。
別に悪い意味ではなく、不思議な世界。

最後に、庭仕事をしようとした青奈が掘り出したブリキの缶の中から

「みらいのだれかさん。この手紙をよんだら、きっとしあわせになります」

という手紙が出てくる。

こんな手紙、私も欲しいな
いや、でも、断然、蓮の花に座るお釈迦様が見たいな

巻末に「狭小邸宅」の紹介文が載っていた。
第36回すばる文学賞受賞作が「狭小邸宅」と「黄金の庭」だったのね。


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