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Thu2014.02.27


開かせていただき光栄です ―― DILATED TO MEET YOU ―― 皆川博子

開かせていただき光栄です ―― DILATED TO MEET YOU ―― 皆川博子
ハヤカワ文庫JA

2014.2.25

開かせていただき光栄です
特別付録
チャーリーの受難
主要参考資料
書いていただき光栄です/有栖川有栖


裏表紙より。

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が
発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと
弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の
少年の辿った恐るべき運命が……解剖学が最先端であり偏見にも晒された
時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、
本格ミステリ大賞受賞作。前日譚を描いた短篇を併録。解説/有栖川有栖



『アルモニカ・ディアボリカ』から『開かせていただき光栄です』に
戻ってみる。
2度目。
ストーリーも大体?覚えていた
2度目でも楽しい

やっぱり皆川博子はすごいなー。
ディケンズの小説に出てくるような世界が、日本人の作家に書けちゃうんだ。

そしてやっぱり、エドとナイジェル
エドは美形だと書かれているけれど、ナイジェルは
美形とは一言も出てこないんだ…
でも、美形じゃないと
21歳と19歳では、もう少年じゃないかもですが、
『ポーの一族(萩尾望都)』のエドガーとアラン。
『風と木の詩(竹宮惠子)』のセルジュとジルベールでも。
薔薇亭のシーンからは、森川久美の元首(ドージェ)シリーズを
連想し(ベネツツィアだし、背景が全然違うけど)、
そこから、『蘇州夜曲』『南京路に花吹雪』の黄に向かうは必定。

と。勝手にイメージがイメージを呼んで…
好きだー

死者として、生きます
と言って去って行った2人が、ともに暮らしていなかったことを
知ってしまった後に読むラストは、より切ない…


『特別付録』
解剖ソング♪
譜面付き


『チャーリーの受難』
クラレンスの弟がフランシス・ダッシュウッド卿の馬車に
轢き殺され、卿に復讐するくだりは、やはりコメディタッチ。
なのに『アルモニカ・ディアボリカ』は… 悲しすぎる


[皆川博子]  [開かせていただき光栄です]  [みながわひろこ

Sun2014.02.23


アルモニカ・ディアボリカ 皆川博子

アルモニカ・ディアボリカ 皆川博子
早川書房

2014.2.18


裏表紙より。

18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、
暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を
作っていた。ある日、正体不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。
屍体の胸には<ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ>
と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。
『開かせていただき光栄です』続篇!


100ページでいきなりナイジェルの死体が?!

「ナイジェル……。そんな……」

少しずつ明らかになるナイジェルの過去。
様々な謎が絡まり合い、解きほぐされていく…

そー… ナイジェルが生きていたら、謎解きの歯車が回らない…
それでも、なぜナイジェルが死ななくちゃいけないの…

僕は、僕が望むように君を変えた。
でも、エド、君と再会できたら、君が望むように、僕を変える。


『開かせていただき光栄です』は、コメディタッチで軽妙だったけれど、
『アルモニカ・ディアボリカ』は切なすぎる…

それでも、物語の続きが読みたい…


[皆川博子]  [アルモニカ・ディアボリカ]  [みながわひろこ

Tue2014.02.11


すっぴんは事件か? 姫野カオルコ

すっぴんは事件か? 姫野カオルコ
ちくま文庫

2014.2.10

それってヘンでは? はじめに
第1章 いつも危険日 男と女のウソホント
 ♂♀の定番メニュー
 男と女はアソコが違う
 エロ本の男女差
 秘密のスーツ萌え
 バスト!バスト!バスト!
 ダイエットしている訳じゃない?
第2章 媚びれ! ウケる見かけの落とし穴
 だからあなたもヤリ抜いて
 すっぴんは事件か?
 究極の勝ち☆メイク
 ホンモノの小悪魔
 ○○○さん似の美人
 エエッ!こんな人がイケてるって?
第3章 いかがなものか 行き場のないクレーム
 ジャズをかけるな
 文庫を先にしてみては?
 いっそ理想の文芸誌
 怠慢大賞総ナメ
 これでいいのだ――ベニスの夏の日(長編エッセイ)


姫野カオルコ『昭和の犬』が直木賞受賞
と聞いて、
姫野カオルコって、あの姫野カオルコ?
と思ったのですが、
そもそも姫野カオルコちゃんと読んだことない
ので、「あの」が「どの」か自分でもよくわからない。
(失礼な話)
多分、初姫野カオルコ。

色々面白かったけれど、特に最後のエッセイ、
憧れのベニスに行って、暑さ×アネッサ×ヘアマニキュアで、
はからずもアシェンバッハになってしまったところは、ツボ
ビョルン・アンドレセンのしましま水着姿まで脳裏に浮かぶ

では、姫野カオルコも読んでいくとしますか。


『ジャズをかけるな』で
ちゅるるるぅ
とか
びぼぼぼん、ちゅるるるぅ
とかって… どんな曲?


[直木賞]  [姫野カオルコ]  [すっぴんは事件か?]  [ひめのかおるこ

Mon2014.02.10


完全なる首長竜の日 乾緑郎

完全なる首長竜の日 乾緑郎
宝島社

2014.2.8

映画、『リアル~完全なる首長竜の日~』のストーリー紹介が

幼なじみで恋人同士の浩市(佐藤健)と淳美(綾瀬はるか)。
だが1年前、漫画家の淳美は自殺未遂により昏睡状態に陥ってしまう。
浩市は淳美を目覚めさせるため、〈センシング〉という最新医療に
よって彼女の脳内へ入っていく。
…(略)…
浩市は淳美を救うことが出来るのか――。
そしてふたりが抱える秘密の思い出とは――。
極限状態で愛し合うふたりに、驚愕の真実が待ち受けていた――。


とあって、そんな話だっけ?
と、再読。

そーだよね、淳美が弟の浩市の意識に… から始まるんだよね。

サリンジャーの『A Perfect Day for Bananafish』や
ルネ・マグリットの『光の帝国』が出てきて、雰囲気は
きらいじゃないけれど。
最後はなんなんだろー。
精神科医の先生は、淳美をどうしたいんだろう?
そもそも、一体誰が淳美が目覚めるのを待っているのだろう?

これ、映画はどんなストーリーになったんだろう…


[乾緑郎]  [完全なる首長竜の日]  [いぬいろくろう

Sun2014.02.09


殺意の構図 探偵の依頼人 深木章子

殺意の構図 探偵の依頼人 深木章子
光文社

2014.2.7

プロローグ
第一章 事件の顛末
第二章 女たちの情景
第三章 対決
エピローグ


初深木章子。

そんなに多くはない登場人物の関係に、途中でちょっと混乱する。

7月、資産家の峰岸巌雄が自宅で焼死。
火災の原因は、放火。
1週間後、巌雄の長女朱実の夫で、巌雄の養子でもある
峰岸諒一が逮捕される。
巌雄の妻悦子の弟である今村啓治の古い友人である弁護士、
衣田征夫(きぬた)が弁護を依頼される。
公判が開始された翌年3月、朱実が事故死。
妻が死んだことで、諒一は強力なアリバイ=不倫旅行を主張し、
4月末、無罪となる。
ところが、その半月後の5月中旬、諒一が毒殺される…

ひゃ~ 諒一も殺されちゃうんだ。
オチはなんだ…

第一章は弁護士の衣田が語り、第二章は朱実の妹の暮葉と、
巌雄の妻悦子の弟である今村啓治の2番目の妻佳苗が語る。
そして第三章で、プロローグに登場した私立探偵榊原聡(さとる)が
再登場。

なにゆえ私立探偵が出てくるの?
という疑問が、最後の最後に鮮やかに氷解。
びっくりした~

どうしても腑に落ちないのが朱実殺し。
7月4日~5日に水をはって、3月3日までそのままって…
8か月以上も、部屋の中が水没していたことが簡単にバレないなんて…
そんなことある?


[深木章子]  [殺意の構図]  [探偵の依頼人]  [みきあきこ

Sat2014.02.08


世界から猫が消えたなら 川村元気

世界から猫が消えたなら 川村元気
マガジンハウス

2014.2.6

月曜日 悪魔がやってきた
火曜日 世界から電話が消えたなら
水曜日 世界から映画が消えたなら
木曜日 世界から時計が消えたなら
金曜日 世界から猫が消えたなら
土曜日 世界から僕が消えたなら
日曜日 さようならこの世界


会社のチャリティ古本市(全品100円)で買ったコが
「くそ面白くなかったです
と、貸してくれる

『世界から猫が消えたなら』、結構話題になっていし、
表紙のネコはかわいいしで、かなり気になっていたのだけれど、
その当時は長ーいリクエスト待ち。
母が「買おうかしら」とまで言っていたのに。
「くそ面白くない」って…


世界から、もし猫が突然消えたとしたら。
この世界はどう変化し、僕の人生はどう変わるのだろうか。

…(略)…

そして間もなく、僕は死にます。

なぜこうなったのか。
その理由について、これから書いていこうと思う。

…(略)…

そう、これは僕の遺書なのです。



微熱と頭痛が続き、病院に行ったら
脳腫瘍、ステージ4で、いきなり余命宣告。
長くて半年、1週間すら怪しいかも。
そして家に帰ったら、自分そっくりの悪魔が登場…

これ… なんの話?

なんだか齋藤智裕こと水嶋ヒロの『KAGEROU』みたい
(ちゃんと覚えていないので、雰囲気で)

この世界から1つ、何かを消す。
それと引き換えに1日生きられる。

電話を消し、映画を消し、時計を消し。
合間に、がんで死んだ愛猫レタスと、がんで死んだ母親の
エピソードがはさまる。
父親との断絶も。

でもなんだか軽い。

愛猫キャベツがいきなり時代劇口調でしゃべりだすし。
悪ノリしすぎ?

そして、悪魔が次に指定したのは、猫。

『世界から猫が消えたなら』なのに、ネコ消えないんだ。

サラっと読めるし、面白かったっちゃ面白かった
文中、フェリーニの『道』が出てくると、
頭の中であの切ないメロディとシーンが繰り返され、
この本の切なさも5割増し^^;
でも… 「ないわー」

電話が消えた後の世界がどうなったのか。
映画が消えた後の世界で、元彼女はどうやって生きていくのか。
時計が消えた世界は、どうやって秩序を保っているのか。
元カノ、映画好きで映画館で働いているのに。
お父さん、時計の修理屋さんなのに。
なんか、突っ込みどころ満載。
SFじゃないから、そこは気にしなくていいの?
ネコの感触って、フーカフーカなの?!
いやー… 「ないわー」

彼女とブエノスアイレスに行ったときの回想シーンで。
それから数日間、僕らは熱にうなされたようにブエノスアイレスの街を歩き回った。

熱にうかされた、ですよね…

2013年本屋大賞ノミネート作品

いや、これを絶賛するなら、『KAGEROU』だってベストセラーでいいのでは?
ちょっと『KAGEROU』を読み返したくなってきた


[川村元気]  [世界から猫が消えたなら]  [かわむらげんき

Wed2014.02.05


片想い 東野圭吾

片想い 東野圭吾
文春文庫

2014.2.4

まずは裏表紙をチェック。

十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。
彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友
である妻とともに、彼女をかくまうが……。
十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして
自分を、変えてしまったのだろうか。過ぎ去った
青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、
傑作長編ミステリー。


『片想い』、読んだことない、な

久しぶりに東野圭吾面白かった

テーマは性同一性障害。
片想い、というのは、だから秘められた恋心かと思ったら、
そんな浅い話ではなかった。

「身体は女、心は男」だが、手術などは考えないという相川が言う。

「私は自分のことを異常だとは思っていないからです。
この心で、この身体を持っている、それが自分自身だと
信じているからです。何も変える必要はない」


「人間は未知のものを恐れます。恐れて排除しようとする。
どんなに性同一性障害という言葉だけがクローズアップされても、
何も変わらない。受け入れられたいという我々の思いは、
たぶんこれからも伝わらない。片想いはこれからも続くでしょう」


ところどころ引っかかる(特に主人公の哲朗がなぁ…)けれど、
この視点には目からウロコ。

女性の身体から、男性になった嵯峨の言葉。

『我々は何色のランドセルを持てば良かったのか』

『血液型性格診断を信じている人は多い。その人たちによれば、
人間はA、B、O、ABの四種類に分類できるということなのだろう。
しかしそういう人たちでも、日常生活で血液型によって相手を
差別するということは殆どない。血液型が違っても、人間である
ことは変わりないと思っている。また同時に、本当に分類するには
四種類などという大ざっぱな分け方が不可能であることも知っている。
 ではなぜ多くの人は、性染色体のタイプに縛られるのだろう。
XXであろうとXYであろうと、あるいはそれ以外のものであろうと、
人間には変わりがないという考え方がなぜできないのだろう。
…(略)…』


自分の浅さを自覚
性同一性「障害」って、確かに失礼だよな…

ただ… 中尾がすべてを被って死のうとするのがどうしても
腑に落ちない。
そんなに簡単に「身元不明死体」になれるのかなー。
末期がん患者とか、警察も必死で身元を探るのでは?
携帯電話から身元がバレちゃうって言ってなかったっけ?

ちょっと消化不良気味。

でもまぁ、厚さ(614ページ)に見合う面白さ。
… こういうことがあるから、結局東野圭吾、
借りちゃうんだよなぁ…


[東野圭吾]  [片想い]  [ひがしのけいご

Sat2014.02.01


バン、バン! はい死んだ ミュリエル・スパーク 木村政則訳

バン、バン! はい死んだ ミュリエル・スパーク 木村政則訳
河出書房新社

A SELECTION OF STORIES by Muriel Spark

2014.1.31

世渡り上手と世渡り下手
 ポートベロー・ロード
 遺言執行者
 捨ててきた娘
 警察なんか嫌い
 首吊り判事
自信家たち
 双子
 ハーパーとウィルトン
 鐘の音
 バン、バン!はい死んだ
 占い師
頭の中をのぞいてみれば
 人生の秘密を知った青年
 上がったり、下がったり
 ミス・ピンカートンの啓示
 黒い眼鏡
 クリスマス遁走曲
訳者あとがき


突き抜けた意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王、
秘蔵の傑作群。
久しぶりに会った幼なじみが、私を目にして顔面蒼白になって取り乱した
のは……『ポートベロー・ロード』。
外見は瓜二つだが性格は正反対の少女たちの、友情の裏に潜む敵愾心が
じわりと突き刺す表題作。
小さな空飛ぶ円盤が家に飛び込んできたことから始まる、カップルの
意地の張り合いが可笑しい『ミス・ピンカートンの啓示』。
ミステリあり、スラップスティックあり、ロマンティックな恋愛ありの
多彩な味わいで贈る日本オリジナル短篇集。本邦初訳多数。



なんとなく時代がかっているな…
と思ったら、初出が1953年の作品もある。なるほど。

ポートベロー・ロード 
遺言執行者 
捨ててきた娘 
警察なんか嫌い 
首吊り判事 
双子 
ハーパーとウィルトン 
鐘の音 
バン、バン!はい死んだ 
占い師 
人生の秘密を知った青年 
上がったり、下がったり 
ミス・ピンカートンの啓示 
黒い眼鏡 
クリスマス遁走曲 

という感じ。
他のも読んでみたい


ミュリエル・スパーク Muriel Spark
  1918 - 2006


[ミュリエル・スパーク]  [バン、バン!はい死んだ]  [木村政則