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Sun2013.06.30


あるキング 伊坂幸太郎

あるキング 伊坂幸太郎
徳間文庫

2013.6.29


〇歳
三歳
十歳
十二歳
十三歳
十四歳
十五歳
十七歳
十八歳
二十一歳
二十二歳
二十三歳
〇歳
文庫版あとがき
解説 柴田元幸


伊坂幸太郎の本でも、苦手な作品はいくつかあります。
でも、とても苦手だった「グラスホッパー」が、
(間を空けて2度ほど読んだけれどダメだった…)
「マリアビートル」の後に再読したら好きになったように、
読み直したら、あるいは、単行本と文庫本は違うから、
いけるかなーと思っていた1つが「あるキング」。

天才野球少年王求(おうく)。
球。
王になる男。

冒頭、「マクベス」の3人の魔女の台詞と訳。
Fair is foul, and foul is fair.
松岡和子、小田島雄志、福田恆存、木下順二、安西徹雄、河合祥一郎。
木下順二(「夕鶴」)って翻訳もするんだ。

…やっぱり印象は変わらない。
誰にも感情移入できないまま物語は進んで行く…

でも、最後の最後に、ちょっと王求が好きになる。
最期がくるのが切ない。
次に生まれてくるコが、幸せな野球人生を歩めますように

語り手が南雲慎平太、にびっくり。


[伊坂幸太郎]  [あるキング]  [いさかこうたろう

Fri2013.06.28


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹
文藝春秋

2013.6.26


多崎作(たざきつくる)36歳。
高校時代の5人組グループが、
アカ=赤松慶(あかまつけい)、
アオ=青海悦夫(おうみよしお)、
シロ=白根柚木(しらねゆずき)、
クロ=黒埜恵里(くろのえり)。
つくるだけ、苗字に「色」が入っていない、
ゆえに、色彩を持たない多崎つくる。

…伊坂幸太郎の「砂漠」、5人組だったなー。
4人の共通点は、色ではなくて、東西南北。
麻雀をやるための、東堂、西嶋、南、北村。
あぁ、でも、主人公は北村で、もう1人のメンバーは
鳥井くんだったか。
大学生だし。

「砂漠」の最後、卒業の春、北村が、
結局、僕たちはばらばらになる。
なんてことはまるでない、はずだ。

と言っているけれど、ばらばらにならないワケがない、
ってところかな。

1人だけ名古屋を離れ、東京の大学に進んだつくる。
休みの度に名古屋に帰り、変わらず5人で仲良く過ごしていたのに、
大学2年の夏に帰省したとき、突然アオから絶縁を言い渡される。
それは、4人全員の意見で、理由は「自分で考えろ」。

それから16年。
つくるは、理由を尋ねるため、4人に会いに行く。
=巡礼の旅。

アオが言う。
なあ、おれたちはある意味、パーフェクトな組み合わせだったんだ。
五本の指みたいにな…(略)…あんなことはおそらく、おれたちの人生で
もう二度とは起こらないだろう。…


アカが言う。
でも昔はおれにも、何人かの素晴らしい友だちがいた。
おまえもその一人だった。しかし人生のどこかの段階で、
そういうものをおれは失ってしまった。


沙羅とつくるの会話。
「つまり、ある意味ではあなたたちはそのサークルの完璧性の中に
閉じ込められていた。そういう風に考えられない?」
「ある意味ではそうだったかもしれない。でも僕らは喜んでその中に
閉じ込められていた。そのことは今でも後悔していないよ」


クロが言う。
いずれにせよその頃には、もうあの素敵なグループは――君を欠いた
四人のグループはということだけど――以前のようにはうまく機能
しなくなっていた。みんな学校を出て、それぞれの日常に追われる
ようになっていた。当たり前のことだけど、私たちはもう高校生では
なくなっていた。


でも不思議なものだね
あの素敵な時代が過ぎ去って、もう二度と戻ってこないということが。
いろんな美しい可能性が、時の流れに吸い込まれて消えてしまったことが


つくるは思う。
しかしそんな至福が永遠に続くわけはない。楽園はいつしか
失われるものだ。人はそれぞれに違った速度で成長していくし、
進む方向も異なってくる。時が経つにつれ、そこには避けがたく
違和が生じていっただろう。


結局私は、ずっと伊坂幸太郎の「砂漠」のことを考えながら、
読んでいたので、気になったのも、こういうところになって
しまいました

あぁ、気になったといえば、つくるくんの家の電話。
沙羅の電話番号を押した
とか、
短縮番号を押し、沙羅に電話をかけた
とあるので、「黒電話」じゃないですよね?
でも、夜中の電話に
それが沙羅からの電話であることはおそらく間違いない
って、かけてきた相手、表示されるからわかるでしょ?
電話機をじっと見ていたけれど、手がかりは得られなかったの?
いや、ちっちゃいとこ引っかかってますが

それにしても… 灰田文昭(はいだふみあき)くんは、
どこに消えてしまったの
灰田もおそらくおれの中につっかえているものごとのひとつなのだ
って、傍点付きで強調しておいて
ジャズ・ピアニストの緑川の語る「死のトークン」の
話も宙ぶらりん…

続編


[村上春樹]  [色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年]  [むらかみはるき

Mon2013.06.24


あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬まる

あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬まる
新潮社

2013.6.18

親離れ・子離れが
野坂梨枝28歳。ドラッグストア店長。
ずっと実家で母親と暮らしている。
両親は幼い頃離婚。
6歳上の兄は、結婚して関西。
母親には始終「みっともない」、「はずかしい」と言われ、
一人前の大人として見てもらえない。
東京勤務となった兄一家が実家に戻ってくるのを機に、
一人暮らしを始める梨枝。
やっと始まった親離れ・子離れ。


 週明けから新しいアルバイトが入ることになった。三葉くん。
近くの大学に通っている二十歳の男の子だ。ずいぶん目つきの
はっきりした子だな、と面接の時にまず思った。少し目尻の上がった、
黒目がちの目がよく光っている。目元の印象はぎらぎらと鋭いのに、
薄い唇はかすかに口角が上がっていて、


あぁ… こういう男のコを1人知っている。
大学生じゃなくて、社会人だけど。
ドラマ「TAKE FIVE」の松坂桃李みたいな感じ。

いいな三葉くん

 五回目の朝ごはんの時、一緒にベンチに並んでお茶を飲んでいたら三葉くんがぽつりと言った。
 「鳥が、好きな相手にエサを運んでったり、毛繕いしたり、するじゃないですか」
 「するねえ」
 「俺いま、一応そんな気分でいるんです」
…(略)…
 照れよりも、興奮よりも、だるま落としの木槌でかこんと頭を叩かれたような衝撃があった。


引用するところが、絶対他の人達とは違う気がするけど
三葉くんのために、この本買ってもいいと思いました

もちろん、魅力は三葉くんだけじゃないです。

 「むりやり言うと、こんがらがって他のものになっちゃうから、言わなくていいよ」

こういう、言いたいことがうまく言えなくて、言葉にすると
別のものになってしまうもどかしさ、焦燥感。

なにより、梨枝も、お母さんも、兄も、兄嫁で幼馴染の雪ちゃんも、
バファリン中毒のサキさんも、それぞれ魅力的

とてもインパクトのあるタイトルですが、蜘蛛を潰せないあの人が
柳原さんだったのには、びっくり。

 蜘蛛だ。蜘蛛の始末を付けられない人だ。きっと蜘蛛がつまめないのは、
嘘ではなかった。蜘蛛一匹の始末も付けられないから、自分の始末も
付けられないのか。それがあの人の病だったのだろうか。
 国道の彼方を見つめていた柳原さんの背中を思い出す。


 柳原さん、…(略)…
 あなたの無事を願っています、と無数のテールランプへ祈った。


柳原さんで始まって、柳原さんで終わるのに、
柳原さんが一番良くわからなかった…


[彩瀬まる]  [あのひとは蜘蛛を潰せない]  [あやせまる

Sun2013.06.23


変死体 パトリシア・コーンウェル 池田真紀子訳

変死体 パトリシア・コーンウェル 池田真紀子訳
講談社文庫

PORT MORTUARY
Patricia Cornwell

2013.6.20


「血霧」を読んで、ジャック・フィールディングが何をしでかしたのか、
さっぱり思い出せなかったので
「変死体」を借りてきて、再読。

すごい… 全然覚えてない…
あぁ、ほんとに、なんのために本を読むのでしょう…

覚えていないけれど、一度読んでいるのは間違いないので、
グダグダした描写は飛ばし読み。
大体、スカーペッタの経歴とか、10歳若返っちゃっているんだから、
どう考えたって辻褄が合わないハズ。
ベントンを略奪した過去もなくなってるかも

飛ばし過ぎて、殺されたのが誰なんだか、よくわからなくなったところもありますが。
かわいそうなジャック…
今回主役と言ってもいいのに、ジャック・フィールディング自身は、
一言も語ることなく死体で発見されて…
検屍官シリーズ、登場人物のキャラが一定しないので、感情移入しにくいです
いいヤツが、すごくやなヤツになってたり…
やなヤツだったハズが、大切な仲間になってたり…
ジャック・フィールディングって、もっと魅力的なヒトだったんじゃ…

ジャックの娘、ドーン・キンケイドが、長く続いた狼男に代わって
しつこくスカーペッタをつけ狙うことになるのかと思いきや、
「血霧」であっさり殺されちゃう。
パトリシア・コーンウェル、スカーペッタ以外は、気前よく殺しちゃいます

なんか… 絶対もっと面白いシリーズになりそうなのに…
何がいけないのでしょう…


[パトリシア・コーンウェル]  [変死体]  [池田真紀子]  [Patricia]  [Cornwell

Sun2013.06.16


神去なあなあ夜話 三浦しをん

神去なあなあ夜話 三浦しをん
徳間書店

2013.6.14

第一夜 神去村の起源
第二夜 神去村の恋愛事情
第三夜 神去村のおやかたさん
第四夜 神去村の事故、遭難
第五夜 神去村の失せもの探し
第六夜 神去村のクリスマス
最終夜 神去村はいつもなあなあ


「神去なあなあ日常」の続編。
高校を卒業したらフリーターでいっか、と思っていたのに、
三重県の山奥の神去村(かむさりむら)の中村林業株式会社に
就職するハメになった平野勇気のその後。
二十歳の勇気は、正社員になり、山の仕事にも慣れ、
遊ぶ場所も、コンビニも、服屋も食い物屋もない
神去村で、いつのまにか林業に夢中になっていた。

いやー、勇気くん、立派な大人になったねー
物語がやたら軽い口調で語られるのが、ちょっと気になる。
(「みんなたち」って呼びかけにはイラっとする
悲しい出来事もさらっと流せてしまう。
「日常」の方が、深みがあったような…

あぁ、でも、小学生になった山太(さんた)の
クリスマスのエピソードには、ちょっと泣きそうに
山太、どんだけいい子なんだ

お仕事小説で林業、という「神去なあなあ日常」の
インパクトに比べると、ややトーンダウンしてはいますが。
登場人物がみな魅力的なので、まだまだ物語の続きが読みたいです


[三浦しをん]  [神去なあなあ夜話]  [みうらしをん]  [かむさりなあなあやわ

Sat2013.06.15


パン屋を襲う 村上春樹

パン屋を襲う 村上春樹
新潮社

2013.6.13

パン屋を襲う
再びパン屋を襲う
あとがき


「パン屋襲撃」って古い話だよなー…
と思ったら、初出は「早稲田文学」の1981年10月号。
「パン屋再襲撃」の初出は、「マリ・クレール」1985年8月号。
だそうです。


この2作に、カット・メンシックがイラストをつけて
絵本にしたのが「パン屋を襲う」。

「パン屋襲撃」「パン屋再襲撃」のタイトルを
オリジナルと区別するために、
あっさり変えちゃうんだ…


◇パン屋を襲う
丸2日何も食べていない空腹に耐えかねて、
パン屋を襲撃に行った僕と相棒は、
店主の好きなワーグナーをしっかり聴くことと交換に、
お腹いっぱいパンを食べる。


◇再びパン屋を襲う
夜中に耐えがたい空腹感に襲われた僕と妻。
僕はうっかり妻にパン屋襲撃の話をしてしまい、
妻と2人、再びパン屋を襲撃に行くハメに。
夜中に開いているパン屋は見つからず、
マクドナルドを襲撃…


って、あらすじを書いても意味ないですね。

「パン屋を襲う」も「再びパン屋を襲う」も、
日本が舞台なことにちょっとびっくり。
どこともしれない国の話だと思ってました。
(まぁ私の記憶力ほど頼りないものはないのですが
妻、散弾銃持ってるし…

この「再びパン屋を襲う」のハードボイルドな感じ、好き
村上春樹らしい1冊
うすっぺらいし、ちょいちょい読み返すのにいいかも。
でも、手元に置いておくには、ドナルドの顔がコワい…


[村上春樹]  [パン屋を襲う]  [むらかみはるき]  [カット・メンシック

Fri2013.06.14


キアズマ 近藤史恵

キアズマ 近藤史恵
新潮社

2013.6.12


【キアズマ[chiasma]】
減数分裂の前期後半から中期にかけて、相同染色体が互いに接着する際の
数か所の接着点のうち、染色体の交換が起こった部位。X字形を示す。(三省堂 大辞林)



「サクリファイス」「エデン」「サヴァイヴ」に次ぐ自転車レースもの。
でも舞台は大学の自転車部。
大学からの帰り道、ささいなことから自転車部の部長村上に
全治10か月の怪我を負わせてしまった正樹。
3年生の村上、堀田と2年生の隈田、櫻井の4人しかいない自転車部。
正樹は1年間の約束で自転車部に入部する。
高校まで柔道をやっていて、ロードバイクは初めてなのに、
ぐんぐん上達する正樹。
7月、お台場のクリテリウム(周回レース)のクラス3で優勝
9月、インカレ(全日本大学対抗選手権自転車競技大会)で個人優勝
そして11月、山梨のロードレースで落車事故に巻き込まれ…

櫻井が背負っているもの。
正樹が背負っているもの。
それでも、彼らは自転車で走る。

チーム・オッジの赤城がチラっと登場するし、
正樹くん、まだまだ走り続けそうです


[近藤史恵]  [キアズマ]  [こんどうふみえ

Thu2013.06.13


夢幻花 東野圭吾

夢幻花 東野圭吾
PHP研究所

2013.6.11

プロローグ1
プロローグ2
1 ~ 39
エピローグ


東野圭吾はもういいや、と言いつつ、
新刊が出ると、ついリクエストの列に並んでしまう

「夢幻花」、結構面白かった。


冒頭の昭和30年代?の日本刀による惨殺事件も、
蒲生蒼太の父と10歳年上の兄が、毎年熱心に入谷の朝顔市に通うのも、
蒼太14歳のときの初恋が不意に断ち切られたのも、
秋山梨乃の従弟の鳥井尚人が、自宅マンションから飛び降り自殺したのも、
梨乃の祖父鳥井周治が殺されたのも、
みんな黄色い朝顔に収れんされる…

面白かったけれど、ところどころ引っかかる。
蒼太の母親の態度とか。
黄色い朝顔の種を、極秘裏に何代にもわたって追っているワリに、
種を持っていた人へのお咎めはないし。
食事券のことを「三枚の細長い紙」って書くのとか…
周治が雅哉の目の前で警察に電話し始めるのも…
と。最後の方はなんだかバタバタと決着に向かって突き進み、
そもそもの秘密が、実はそんなに大した秘密ではないのでは…
とも思いますが。

最近のやっつけ感あふれるガリレオとかよりは、面白かった

あ。登場人物がやたら美男美女なのも気になりました
ドラマ化か映画化を視野に入れているからでしょうか


[東野圭吾]  [夢幻花]  [ひがしのけいご

Sun2013.06.09


ビッグ・ドライバー スティーヴン・キング 高橋恭美子・風間賢ニ訳

ビッグ・ドライバー スティーヴン・キング 高橋恭美子・風間賢ニ訳
文春文庫

FULL DARK, NO STARS
Stephen King

2013.6.8

ビッグ・ドライバー
素晴らしき結婚生活
著者あとがき
作品解題


スティーヴン・キングの中編小説集「Full Dark, No Stars」を、
日本では、「1922」と「ビッグ・ドライバー」に2編ずつ収録。


◇ビッグ・ドライバー

小説家のテスは、地方での講演会に出た帰り道、
人気のない道で車がパンク。
通りかかった男にレイプされ、暗渠に捨てられる。
なんとか家に帰り着いたテスは、この事件が
仕組まれた罠だったことに気づき、
テスの復讐が始まる…


◇素晴らしき結婚生活

ダーシーは、結婚して27年。
息子は起業して成功への道を歩み始め、
娘は結婚が決まり、夫にも特に大きな不満もない
幸せな結婚生活を送っていた。
ある日、夫の留守中、乾電池を探しに入ったガレージで、
夫が、残虐な連続殺人鬼であることを知ってしまう。
妻が秘密を知ったことに気づいた夫は、
二度としないと誓うが、ダーシーは…


「著者あとがき」にある通り、
異様な状況下における普通の人々の物語。

「あなたがはじめてじゃないし、最後でもないのよ」

アメリカって怖い…

2作とも、凄惨な事件だが、「ハッピーエンド」なので、
読後感は悪くない


[スティーヴン・キング]  [ビッグ・ドライバー]  [高橋恭美子]  [風間賢ニ]  [Stephen]  [King

Thu2013.06.06


血霧 パトリシア・コーンウェル 池田真紀子訳

血霧 パトリシア・コーンウェル 池田真紀子訳
講談社文庫

RED MIST
Patricia Cornwell

2013.6.5


検屍官シリーズ、毎年、クリスマスの声を聞く頃に
発売になる新作が楽しみで。
発売後すぐ買ってきて、一気読み

12月、オフシーズンの安い時期に海外旅行に行っていた頃は、
発売後すぐには買わないで。
長いフライトのお供に、空港の売店で買って、
ヒコーキで一気読み、なんて楽しみもあって。

それが、いつからだろう。
あまり楽しめなくなってきたのは。

「今度は面白いに違いない!!」
と買ってきては、不完全燃焼

それでも、シリーズものの魅力で買い続けていたけれど…

あるとき、著者が、スカーペッタの年齢を
いきなり10歳?若返らせるという暴挙に出て

(これについては、故相原真理子の
 『検屍官シリーズ最新作 『審問』翻訳裏話』
 という文章を見つけたので、引用させていただきます。
…(略)… 今回は時間がない上に、一番困ったのがスカーペッタの年齢です。
第1作で40歳だったので、それでいくともう50代後半にも関わらず、いきなり
40代後半に若返っているんです(笑)。ほかの登場人物も10歳近く若くなっていて、
はじめはごまかしながら訳していましたが、だんだん苦しくなってきて
著者に問い合わせたところ、「フィクションだから」とあちらの方は
あまり気にしないようなんですね。
でも、日本ではそうはいかなくて、読者からすぐに手紙がきてしまいますし、
私としても登場人物とは実在の人のようにつきあってきたので
(スカーペッタの相棒のマリーノなんて、今では友達のような気がします)、
どうしても違和感がありました。
それで、著者から「訳についてはお任せします」と言われていたので、
私のなかでは50代後半のつもりで、そのあたりはぼやかしながら訳しました。

 なんということでしょう
 パトリシア・コーンウェル、平岩弓枝の潔さを見習え

それでも、面白ければついていくのですが。

本棚を見たら、「神の手」までは買ってました。
「こんどこそは」って。
でも、文庫本も高いしね。
シリーズものは、場所も取るしね。
検屍官シリーズ置いておくなら、
ジャネット・イヴァノヴィッチ入れた方が楽しめる

話がどんどんグチめいてきました

「血霧」は、新刊が出たこともチェックしていなかった
そして、初っ端から読むのが辛かったです
なんだか思わせぶりな描写ばかりで、ちっとも進まない。
だいたい「血霧」ってなんて読むのさ?!
(けつむ、です。日本語?)

下巻に入って、ペースが上がり
ページを繰る手が早くなる

でも… 陰で糸を引いていたハズのジェイミー・バーガー、
死んじゃうし
(ジェイミーの死は、下巻のあらすじにきっぱり書いてあるのですが、
 ペントンの例もあるし、実は死んでいないという展開かとも
 思いましたが、間違いなく死んでしまいました
ジェイミー・バーガー、邪魔だったのかなー…

そして犯人がなんとも唐突で…
上下巻で700ページを超すのに、最後の70ページくらいで
一気に解決になだれ込んだような…
上巻… いらなくない?

あぁ、でも、ジャック・フィールディングの最期が
さっぱり思い出せないので。
どうやら、2、3作遡って読み返すことになりそうです。

検屍官シリーズ、長い付き合いで愛着はあるので、
やっぱり完全には切れないんだなぁ…


[パトリシア・コーンウェル]  [血霧]  [池田真紀子]  [Patricia]  [Cornwell

Sun2013.06.02


昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉

昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉
河出書房新社

2013.5.29

ムムム
パワースポット
山ガール
虎尾
魔法のカード
夕子
男子会
一樹


テツコとギフ。
「ギフ」ってなんだろう、と思っていたら、
「義父」なんですよ

テツコ(徹子)の夫一樹は、結婚2年でガンで死んでしまう。
享年25。
テツコは、夫が死んだ後も、夫の家で、
気象予報士の義父(連太郎)と暮らしている。

隣の家に住む、一樹の幼馴染のタカラ(宝)。
CAだったが、笑うことができなくなって仕事を辞める。

一樹の従弟の虎尾。
モテモテの一樹に憧れていて、一樹の死後、
一樹の車を譲り受ける。

テツコの恋人の岩井。

一樹が17歳のとき、ガンで亡くなった、
一樹の母親、夕子。

そして最後の一樹の語りに、タイトルが


「オレ、くたくたになるまで生きるわ」

「好きな人とより、知らない人と過ごしてる時間の方が
 長かったりしますからね。会社とか通勤とか」


「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫」

「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。
 でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」



木皿泉は、「すいか」や「野ブタ。をプロデュース」の脚本家。
一人のヒトではなく、ご夫婦。
これが初の小説。

一樹の死、夕子の死。
重い話なのに、ふんわりしたトーンで、さらっと読める。
さらっと読めるけれど、決して軽くはない。
何度も繰り返し読みたくなる本


[木皿泉]  [昨夜のカレー、明日のパン]  [きざらいずみ]  [ゆうべのカレー、あしたのパン