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Sun2013.07.14


狭小邸宅 新庄耕

狭小邸宅 新庄耕
集英社

2013.7.13

松尾は明王大(慶応のもじりか)卒、不動産会社の新人営業マン。
都心部なので、扱う物件は、狭小住宅=ペンシルハウス。
入社以来、1軒も売れず、恵比寿にある本社から、駒沢の支店に飛ばされる。
配属された2課の課長は、今までの上司と全く違うストイックな印象。
配属早々、売れないものは売れないから辞めてくれと言われてしまう。
が。最後に賭けた1軒の家が売れ…


この課長の言葉が耳に痛い。

「自意識が強く、観念的で、理想や言い訳ばかり並べ立てる。
それでいて肝心の目の前にある現実をなめる。一見それらしい
顔をしておいて、腹の中では拝金主義だ何だといって不動産屋を
見下している。家ひとつまともに売れないくせに、不動産屋のことを
わかったような気になってそれらしい顔をする。客の顔色を窺い、
媚びへつらって客に安い優しさを見せることが仕事だと思ってる」


「…(略)…自分には大きな可能性が残されていて、いつか自分は
何者かになるとどこかで思ってる。俺はお前のことが嫌いでも憎い
わけでもない、事実を事実として言う。お前は特別でも何でもない、
何かを成し遂げることはないし、何者にもならない」


松尾がやみくもに営業した蒲田の物件が売れるところも面白いが、
売れる営業になった松尾が、購入見込みの夫婦に物件を案内して回り、
成約にいたるまでの過程も面白い。

作者の実体験かとも思ったが、ご本人はリクルート出身で、
不動産の営業経験はなし。
勝手に松尾のような人を想像していたが、写真を見ると、
むしろ豊川課長のような感じなのか。

売れる営業にはなったけれど、壊れてしまいそうな松尾。
仕事が人生のすべてじゃないんだけどな…
でも、松尾には営業の仕事をやめてほしくない気もする。
壊れない程度にやっていくことは、難しいのかな…



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