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Mon2013.06.24


あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬まる

あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬まる
新潮社

2013.6.18

親離れ・子離れが
野坂梨枝28歳。ドラッグストア店長。
ずっと実家で母親と暮らしている。
両親は幼い頃離婚。
6歳上の兄は、結婚して関西。
母親には始終「みっともない」、「はずかしい」と言われ、
一人前の大人として見てもらえない。
東京勤務となった兄一家が実家に戻ってくるのを機に、
一人暮らしを始める梨枝。
やっと始まった親離れ・子離れ。


 週明けから新しいアルバイトが入ることになった。三葉くん。
近くの大学に通っている二十歳の男の子だ。ずいぶん目つきの
はっきりした子だな、と面接の時にまず思った。少し目尻の上がった、
黒目がちの目がよく光っている。目元の印象はぎらぎらと鋭いのに、
薄い唇はかすかに口角が上がっていて、


あぁ… こういう男のコを1人知っている。
大学生じゃなくて、社会人だけど。
ドラマ「TAKE FIVE」の松坂桃李みたいな感じ。

いいな三葉くん

 五回目の朝ごはんの時、一緒にベンチに並んでお茶を飲んでいたら三葉くんがぽつりと言った。
 「鳥が、好きな相手にエサを運んでったり、毛繕いしたり、するじゃないですか」
 「するねえ」
 「俺いま、一応そんな気分でいるんです」
…(略)…
 照れよりも、興奮よりも、だるま落としの木槌でかこんと頭を叩かれたような衝撃があった。


引用するところが、絶対他の人達とは違う気がするけど
三葉くんのために、この本買ってもいいと思いました

もちろん、魅力は三葉くんだけじゃないです。

 「むりやり言うと、こんがらがって他のものになっちゃうから、言わなくていいよ」

こういう、言いたいことがうまく言えなくて、言葉にすると
別のものになってしまうもどかしさ、焦燥感。

なにより、梨枝も、お母さんも、兄も、兄嫁で幼馴染の雪ちゃんも、
バファリン中毒のサキさんも、それぞれ魅力的

とてもインパクトのあるタイトルですが、蜘蛛を潰せないあの人が
柳原さんだったのには、びっくり。

 蜘蛛だ。蜘蛛の始末を付けられない人だ。きっと蜘蛛がつまめないのは、
嘘ではなかった。蜘蛛一匹の始末も付けられないから、自分の始末も
付けられないのか。それがあの人の病だったのだろうか。
 国道の彼方を見つめていた柳原さんの背中を思い出す。


 柳原さん、…(略)…
 あなたの無事を願っています、と無数のテールランプへ祈った。


柳原さんで始まって、柳原さんで終わるのに、
柳原さんが一番良くわからなかった…


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