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Wed2015.04.22


プリズンホテル 1 夏 浅田次郎

プリズンホテル 1 夏 浅田次郎
集英社文庫

2015.4.20

1 「おめえでさえ世間様から
  先生なんて呼ばれるんだぜ。
  この俺がリゾート ホテルのひとつやふたつ
  ブッ建てたって、何のフシギもあるめえ」
   ――仲蔵親分は偏屈な小説家に向って言った。

2 「これから旅に出る。
  一緒に行きたかったら上野駅の翼の像の前に来い。
  十時から十分間だけ待つ」
   ――偏屈な小説家はテレ・メッセージを入れた。

3 「おいてめえら。
  こちらがこんど、うちのオヤジさんの肝煎りで
  ホテルを仕切ることになった支配人さんだ。
  挨拶しとけよ」
   ――番頭は湯上りの客に向って言った。

4 「どうも妙だ。
  おい志保、そのホテルは本当に大丈夫なんだろうな。
  変わったことがなければ良いが……」
   ――若林隆明氏は夫人に向って言った。

5 「当ホテルにいったんゲソつけられた
  お客人は身内も同然、
  誠心誠意、 命がけで尽くさせていただきやす」
   ――番頭は拳を突いて言った。

6 「業務連絡!
  ただいま親分がご到着されました。
  全従業員、業界関係者、
  ならびに任侠団体客は
  ただちにロビーに集合して下さい」
   ――荒くれただみ声が、全館に流れた。

7 「静かな部屋……あいてますか。
  それから、酒と、食事も……」
   ――目のすわった家族連れが真夜中の玄関に立った。

8 「あいにく、代紋ちがいのにいさんがたに、
  問われて名乗れる身分じゃござんせん。
  わけあって旅かけておりやすんで」
   ――湯煙の中で、謎の旅人は重たい口を開いた。

9 「誰か覗いてるよ……
  おじさん、やっぱり見てるよ、ほら」
   ――偏屈な小説家は露天風呂の竹囲いを、おそるおそる指さした。

10 「上の者が白いと言やあ、
  黒いカラスも白いのがあっしらの渡世です。
  支配人をないがしろにすれァ、
  指の一本や二本とぶのァ当りめえのこって」
   ――番頭は支配人に言いきかせるように呟いた。

11 「おめーらマジかよ。
  この山ン中に落ち着くだとー。信じらんねーよなー。
  これじゃネンショーにでも行ってた方が、
  まだマシだぜ」
   ――暴走族は父親に向って言った。

12 「シャバに出てきてみたら、代紋が
  なくなっちまってましてね。まったく何のために
  懲役かけたんだかわかりゃしません。
  笑い話ですわ」
   ――謎の旅人は自らを嘲るように言った。

13 「嵐ノ夜ニハ、ゴースト出ルネ。
  首吊ッテ死ンダ、元ノオーナート家族ノ幽霊。
  サッキモ、……三階ノ廊下ヲ
  歩イテ行ッタノ」
   ――仲居は銀の十字架を憟わせた。

14 「よく見ろ。カワサキって書いてあるだろう。
  一九六六年製カワサキW1。
  OHVバーチカルツインエンジンを搭載した
  伝説の名車だ」
   ――シートの下から姿を現したバイクに、暴走族は目をみはった。

15 「ねえ、旦那さん、成仏するなんて
  かてえことおっしゃらずに、ずっとここに
  いらして下さいな」
   ――板長はそう言ってみごとな会席膳を勧めた。

16 「おお、とったろうじゃねえか。
  ヘタ売っての懲役じゃ、てめえも返り討ちに
  あった方がましだろ。死ねや」
   ――旅人はリボルバーの銃口を刺客の喉元に押しこんだ。

17 「もしや、七代前に誰かが坊主でも
  殺しゃしなかったかな」
   ――偏屈な小説家はふいに怖ろしいことを言った。

あとがき
解説  草野満代


裏表紙より。

極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。
たった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が
温泉リゾートホテルのオーナーになったというのだ。招待された
そのホテルはなんと任侠団体専用。人はそれを「プリズンホテル」
と呼ぶ――。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家……
不思議な宿につどう奇妙な人々がくりひろげる、笑いと涙の
スペシャル・ツアーへようこそ。


浅田次郎か…
と思って読み始めたけれど、面白い
通勤電車でまんまと泣いちゃったし

ただ…
孝之介がやたら女の人を殴ったり罵倒したりするのがイヤだ
かわいそうな子どもだったからってことなんだろうけれど、
殴るなら自分より強いヤツに向かえ!

浅田次郎って、こんなお話書くんだ…

続きが楽しみ


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